水曜日, 2月 01, 2023

第四 椎の木かげ(4-4)

 4-4 ほとゝぎす鳴()やうす雲濃紫(こむらさき)

 https://kigosai.sub.jp/001/archives/2099#:~:text=%E5%88%9D%E5%A4%8F%E4%BA%94%E6%9C%88%E3%81%AB%E5%8D%97%E6%96%B9,%E3%81%AF%E5%88%9D%E9%9F%B3%E3%82%92%E5%BE%85%E3%81%A1%E3%82%8F%E3%81%B3%E3%81%9F%E3%80%82

 季語=ほとゝぎす=時鳥(ほととぎす)三夏

 【子季語】 初時鳥、山時鳥、名乗る時鳥、待つ時鳥、田長鳥、沓手鳥、妹背鳥、卯月鳥、杜鵑、杜宇杜魂、子規、不如帰

【解説】 初夏五月に南方から渡ってきて日本に夏を告げる鳥。雪月花に並ぶ夏の美目でもある。昔は初音を待ちわびた。初音を待つのは鶯と時鳥だけ。夜、密かに鳴くときは忍び音といった。

【来歴】 『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。

【文学での言及】

暁に名告り鳴くなるほととぎすいやめづらしく思ほゆるかも 大伴家持『万葉集』

信濃なる 須賀の荒野に時鳥鳴く声聞けば 時過ぎにけり 作者不詳『万葉集』

いくばくの 田をつくればかほととぎすしでの田をさを朝な朝な呼ぶ 藤原敏行『古今集』

ほととぎす鳴くや五月のあやめ草あやめも知らぬ恋もするかな よみ人しらず『古今集』

ほととぎすそのかみ山の旅枕ほのかたらひし空ぞわすれぬ 式子内親王『新古今集』

【実証的見解】

時鳥は、カッコウ目カッコウ科に分類される鳥で、夏鳥として九州以北に飛来する。全体的に灰色で、腹部に白と黒の横縞模様が見られる。托卵の習性があり、おもに鶯の巣に卵を産む。食性は肉食性で、毛虫などを好んで食べる。キョッキョッキョキョなどと鳴き、「特許許可局」や「テッペンカケタカ」などと聞きなしされる。

【例句】

野を横に馬引むけよほとゝぎす 芭蕉「猿蓑」

ほとゝぎす消行方や島一ツ 芭蕉「笈の小文」

京にても京なつかしやほとゝぎす 芭蕉「芭蕉書簡」

ほとゝぎす大竹藪をもる月夜 芭蕉「嵯峨日記」

ほとゝぎすきのふ一聲けふ三聲 去来「去来発句集」

時鳥啼や湖水のさゝ濁り 丈草「丈草発句集」

弓取は弓持てきくほとゝぎす 白雄「白雄句集」

おもひもの人にくれし夜杜鵑 太祇「五車反古」

山吹も散らで貴布祢の子規 維駒「五車反古」

岩倉の狂女恋せよほとゝぎす 蕪村「五車反古」

江戸入りの一ばん声やほととぎす 一茶「七番日記」

 

葛飾北斎筆「子規 杜鵑花(ほととぎす・さつき)」(江戸時代/19世紀/中判/錦絵/東京国立博物館蔵)

https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/482420

 句意は、「初夏を告げる杜鵑(ほととぎす)の鳴き声が、真っ白な薄雲と濃紫(こむらさき)の青天に広がる。」

 

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