その九 月並ハ浚ふ天狗に引く河童
●浚(さら)ふ天狗=天狗攫い=天狗攫い(てんぐさらい)は、神隠しの内、天狗が原因で子供が行方不明となる事象をいう。天狗隠し(てんぐかくし)ともいう。
●引く河童=水辺を通りかかったり泳いだりしている人を水中に引き込み溺死させたり、尻子玉/尻小玉(しりこだま)を抜いて殺したりするといった悪事を働く描写も多い。尻子玉とは人間の肛門内にあると想像された架空の臓器で、河童は、抜いた尻子玉を食べたり、竜王に税金として納めたりするという。ラムネ瓶に栓をするビー玉のようなものともされ、尻子玉を抜かれた人は「ふぬけ」になると言われている。「河童が尻小玉を抜く」という伝承は、溺死者の肛門括約筋が弛緩した様子が、あたかも尻から何かを抜かれたように見えたことに由来するとの説もある。人間の肝が好物ともいうが、これも前述と同様に、溺死者の姿が、内臓を抜き去ったかのように見えたことに由来するといわれる。(「ウィキペディア」)
●点取俳諧(てんとりはいかい)=点者に句の採点を請うて,点の多さを競う俳諧。芭蕉も《三等の文》(元禄5年曲水宛書簡)で〈点取に昼夜をつくし,勝負に道を見ずして走りまはる〉と言っているように,即吟即点が流行していた。其角は〈半面美人〉の点印を洒落風俳諧の高点句に印し,点取り競争をあおった。とくに享保期(1716‐36)の江戸,京都,大坂で流行し,百韻を中心に連衆(れんじゆ)の点を計算して順位を定め,景品もそえるなどして時好に投じた。(「出典:「平凡社世界大百科事典 第2版」)
天狗図」(部分) 葛飾北斎 江戸時代・19世紀 個人蔵 (「大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで」江戸東京博物館)
「北斎漫画. 3編」(「葛飾北斎 画」・明11・出版者=片野東四郎)(「国立国会図書館デジタルコレクション」) → (コマ番号 30/37)
1 花咲(さく)や散(ちる)や天狗の留主事(ごと)に 春/植物/花/ 文政句帖/文政8
2 天狗衆の留主(の)うち咲く山ざくら 春/ 植物/桜/ 文政句帖/文政8
3 俳諧の天狗頭(がしら)が団扇(うちわ)かな 夏/人事/ 団扇/文政句帖/文政5
4 天狗はどこにて団扇づかひ哉 夏/人事/団扇/文政句帖文政8
5 天狗衆は留主ぞせい出せ時鳥 夏/人事/時鳥/文政句帖/文政8
6 大天狗の鼻やちよつぽりかたつむり
夏/ 動物/蝸牛/文政句帖/文政7
7 末枯(うらがれ)や木の間を下る天狗面 秋/植物/末枯/八番日記/ 文政4
8 末枯れや木の間を下る天狗哉 秋/植物/末枯/梅塵八番/
9 栃餅や天狗の子供など並(ならぶ) 秋/植物/栃の実/八番日記/文政4
10 栃餅や天狗の子分など並ぶ 秋/植物/栃の実/梅塵八番/
11 くらま山茸(きのこ)にさい(へ)も天狗哉 秋 植物/茸/八番日記/文政4
12 天狗茸(だけ)立(たち)けり魔所の入口に
秋/植物/茸/八番日記/文政4
13 天狗茸立けり魔所の這入(はいり)口 秋/ 植物/茸/ 文政句帖
14 此(この)おくは魔所とや立(たて)る天狗茸 秋/植物/茸/文政句帖/文政7
15 かつらぎや小春つぶしの天狗風 冬/時候/ 小春(小六月)/ 文政句帖/文政7
16 鳴き虫(を)つれて行くとや大天狗 冬/人事/神の旅/文政句帖/文政7
17 大天狗小天狗とて冬がれぬ
冬/植物/冬枯れ/七番日記/文化11
一茶の「河童」(河太郎・川太郎・猿猴・水神・河伯・河童子・水虎など)の句 =無
(参考)芥川龍之介の『水虎晩帰之図』周辺
http://www.city.nagasaki.lg.jp/nagazine/hakken0704/index1.html
水ひひき(響き)すなわち見ゆる
かふろ(禿 おかっぱ)のあたま
お若さんの為に
我鬼(がき・龍之介の俳号)酔筆 (以下略) ≫
「芥川がいくつも描いた河童の絵」(出典:『芥川龍之介(新潮日本文学アルバム)』)
「澄江堂(主人)」=芥川龍之介の号(庵号)=書斎の扁額「澄江堂」による。
https://designroomrune.com/magome/daypage/06/0620.html
https://www.shunyodo.co.jp/blog/2020/11/akutagawa_ryunosuke_to_shunyodo_5/
そして、その龍之介の長崎旅行は、「大正11年(1922)4月25日から5月30日まで、長崎に一ヶ月間滞在」中のもので、すなわち、この作品(短歌)の初出は、大正十一年(一九二二)にまで遡ることになる。
その長崎旅行中の、その六月に公表された、龍之介の「長崎」と題する「詩」らしきものが、同上のアドレスで紹介されている。
サント・モンタニの空に揚つた凧。
うらうらと幾つも漂つた凧。
路ばたに商ふ夏蜜柑やバナナ。
敷石の日ざしに火照(ほて)るけはひ。
町一ぱいに飛ぶ燕。
丸山の廓の見返り柳。
運河には石の眼鏡橋。
橋には往来の麦稈帽子。
---忽(たちま)ち泳いで来る家鴨(あひる)の一むれ。
白白と日に照つた家鴨の一むれ。
南京寺の石段の蜥蜴(とかげ)。
中華民国の旗。
煙を揚げる英吉利(イギリス)の船。
『港をよろふ山の若葉に光さし……』顱頂(ろちやう)の禿げそめた斎藤茂吉。ロティ。
沈南蘋(しんなんぴん)。
永井荷風。
最後に『日本の聖母の寺』その内陣のおん母マリア。
穂麦に交じつた矢車の花。
光のない真昼の蝋燭の火。
窓の外には遠いサント・モンタニ。
山の空にはやはり菱形の凧。
北原白秋の歌つた凧。
うらうらと幾つも漂つた凧。≫ (出典:「ナガジン」)
- 南蛮美術(20)
- シーボルト・川原慶賀そして北斎(25)
「銭座小学校カッパの壁画」
http://www.city.nagasaki.lg.jp/nagazine/hakken/hakken1512/index.html
≪ 銭座小学校カッパの壁画〝なかよし〟
崑さんの出身校です。「友だちに対する思いやりを大切にすることが、自分の命を大切にすること」をテーマにした六コマ漫画がそのまま壁画になっています。≫
≪「かっぱっぱルンパッパ かっぱ黄桜かっぱっぱ♪」
ご存知の方も多いと思います、酒造メーカーのCMソング『かっぱの唄<黄桜>』の歌いだしの部分です。「黄桜」といえば「かっぱ」というほど、そのイメージが定着していますが、このブランド・キャラクターを生み出したのが長崎出身の漫画家の清水崑(こん)さん。今回は、戦前・戦中・戦後という激動の時代を、筆一本でしなやかに生き抜いた「清水崑の世界」をひも解いてみたいと思います。≫(出典:「ナガジン」)
https://spice.eplus.jp/articles/265434/images/818453
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