火曜日, 1月 31, 2023

第四 椎の木かげ(4-2)

 4-2 とぶ迄を走()つけたる春雉(きぎす)哉  「雉」

 季語=春雉(きぎす)→雉(きじ)三春

 https://kigosai.sub.jp/001/archives/1985

 【子季語】雉子、きぎす、きぎし、雉子の声、焼野の雉子

【関連季語】雉酒、雉笛、雉の巣

【解説】雉の雄は、春、「けーんけーん」と鳴いて雌を呼ぶ鳥である。飛ぶ姿よりも歩いている姿を見かけることが多い。「春の野にあさる雉(きぎし)の妻恋ひにおのがあたりを人に知れつつ 大友家持『万葉集』」のように、妻恋の象徴として詠われていた。

【来歴】『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。

【文学での言及】

春の野のしげき草葉の妻恋ひに飛び立つ雉のほろろとぞ鳴く 平貞文「夫木和歌抄』

【実証的見解】

雉は、キジ目キジ科の鳥で日本の国鳥である。北海道と対馬を除く日本各地に留鳥として棲息している。大きさは雄八十センチ前後で雌は六十センチくらい。雄は全体的に緑色をおびており、目の周りに赤い肉腫がある。雌は全体的に茶褐色。雌雄ともニワトリ似て尾は長い。繁殖期の雄は赤い肉腫が肥大し、なわばり争いのため攻撃的になり、ケンケンと鳴いて翼を体に打ちつける「雉のほろろ」と呼ばれる行為をする。

【例句】

父母のしきりに恋ひし雉子の声 芭蕉「笈の小文」

ひばりなく中の拍子や雉子の声 芭蕉「猿蓑」

蛇くふときけばおそろし雉の声 芭蕉「花摘」

うつくしき顔かく雉の距(けづめ)かな 其角「其袋」

滝壺もひしげと雉のほろろかな 去来「続猿蓑」

柴刈に砦を出るや雉の聲 蕪村「蕪村句集」

亀山へ通ふ大工やきじの聲 蕪村「蕪村句集」

兀山(はげやま)や何にかくれてきじのこゑ 蕪村「蕪村句集」

むくと起て雉追ふ犬や宝でら 蕪村「蕪村句集」

木瓜の陰に皃類ひ住ムきゞす哉 蕪村「蕪村句集」

きじ啼や草の武藏の八平氏 蕪村「蕪村句集」

きじ鳴や坂を下リのたびやどり 蕪村「蕪村句集」

遅キ日や雉子の下りゐる橋の上 蕪村「蕪村句集」

雉啼くや暮を限りの舟渡し 几菫「晋明集二稿」

雉子の尾の飛さにみたる野風かな 白雄「白雄句集」

 「句意」(その周辺)

   「十鳥千句独吟」のトップの、「4-1 うぐゐすに北野の絵馬(えうま)かゝりけり」の、その「鶯」が、「北野天満宮」の「菅原道真(菅贈太政大臣)』の『鶯』」の一首にあやかっての、序句的な「鶯」の句と解すると、この二句目の「とぶ迄を走()つけたる春雉(きぎす)哉」の「春雉(きぎす)」は、次の「雉始雊 (きじはじめてなく)」を踏まえての、ここから、「十鳥千句独吟」の、実質的なスタートの、その発句ということになろう。

 【 小寒の歳時記・季寄せ

二十四節気 / 小寒

七十二候 /

第六十七候(初候)芹乃栄(せりさかう)1/6〜1/102020

第六十八候(次候)水泉動(すいせんうごく)1/11〜1/15 (2020

第六十九候(末候)雉始雊 (きじはじめてなく) /16〜1/192019) 】

 句意は、「春を告げる、『雉始雊 (きじはじめてなく)』の、その『春雉(きぎす)』は、飛ぶというよりも、その助走的な、野辺を『歩きに歩いている姿であることよ。』」

https://yahan.blog.ss-blog.jp/2019-06-21

 


酒井抱一筆『四季花鳥図巻(上=春夏・下=秋冬)』「春(二)」東京国立博物館蔵

https://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0035813

https://yahan.blog.so-net.ne.jp/2019-05-14

その「春(一)」で描いた「蒲公英・木瓜・菫・すぎな(つくし)・薺・白桜草」などに、新たに「虎杖(いたどり)」と「雉(きじ)と母子草」を描いている(『日本の美術№186酒井抱一(千澤梯治編)』)。 

 

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